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下流社会・下流社会第2章 [本]


下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)



ようやく読み終えました。
ふう・・・。
やっぱりのろのろ読書。
一応他にも読んでいるものがあるからな・・・と言っておこう。

で、『下流社会』ですが、著者はマーケティングのプロでございます。
そのプロの分析がさえております。
面白いです。
国民総中流化の1955年体制から階層化の時代へ。
市場も中流層ではなく、階層社会を前提にビジネスモデルを構築しないといけなくなってきましたよ、という。
たとえばトヨタレクサスは上流層向けに売り出して、見事に当たった商品。
日清も高価格帯と低価格帯の二極化を図ることで現在の状況になんとか対応していることとか。
一見経済の話のようでいて、人々の欲求や消費活動の分析というのは、その背景に膨大な文化的文脈を読み解かねばならないわけです。そんなわけで、社会学者がしている調査研究は、経済の分野(昨今は商学部系統になるのか)における市場調査(マーケティング)とけっこうかぶるんだなあ、と感じたりもしました。
本書で特に感心したのは、「自分らしさ」志向が強い若者ほど、下流化傾向が強い、という点の指摘。そして家庭の階層が現況のまま固定化されていく可能性の指摘(家庭の階層固定化)、でした。特に下流化傾向の強い家庭ほど、子どもに対して「自分らしく」生きて欲しいと願ったりする。こうなると子どもにしわよせが行くわけで、生まれた家庭の階層そのままに大人になっていくわけです。つまり簡単に言ってしまえば、下流化傾向の強い家庭で育つと、その子どもも同じ階層に居続ける可能性が非常に大きい。
教育の機会均等という観点から見ると、これはちょっとまずいわけで、では、完全に機会均等にすればいいかというと、またそれも違う。ここらへんが筆者の分析が冴えている部分です。

以下引用
こうした完全機会均等論は解決しがたい問題を内包している。
すなわち、もし完全なる機会均等社会が実現したら、結果の差はすべて純粋に個人的な能力に帰せられる。しかしそれはそれで非情に過酷な社会ではないかと思えるからだ。
おまえの成績が悪いのは、親が貧乏だからでも、低学歴だからでもなく、ひとえにおまえの頭が悪いからであり、勉強や仕事に意欲を持てない性格だからなんだということになってしまう。言い訳がまったくできないのだ。
そしてそれは究極的には、頭の悪さや無気力の原因を遺伝子に求めることになり、悪しき優生思想にたどりつく危険性がある。
引用終わり

といって、筆者が提案するのが機会悪平等。
ここらへん、なかなか面白い。

下流社会 第2章  なぜ男は女に“負けた

下流社会 第2章 なぜ男は女に“負けた

  • 作者: 三浦 展
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/09/14
  • メディア: 新書


『下流社会第二章』は、第一弾のサンプル数の少なさを、今回はきちんと膨大なサンプルを集めて改めて分析しなおしましたよ、という本だと受け取っていいかと思う。
この膨大なサンプルの中には突出してニートとフリーターの数が多いのだけれど、それもまた調査・分析をなかなか興味深いものにしている。
彼らは必ずしも将来正社員になりたいと思っているわけではないのである。

さて、『第二章』では男性・女性に分けてかなり詳しく下流化の現状を追っているが、それはそれ、ひとつ特筆すべきは女性の階層差の拡大である。
一昔前だったら多くの女性が一時は働いても、専業主婦になったものだが、現在はそのようにひとくくりには見ることができない。既婚正社員を上の層として、最も下流は未婚非正社員となるわけだが、なんだか不思議なことに、下流意識の強い彼女たちが、実は最も強い消費牽引者であり、また社会の将来に対してあまり期待を持っていないにもかかわらず、自身の将来には希望をもっているという。なんだかよくわからない。
けれども、筆者はこうしたあり方を「三重苦」ならぬ「三重楽」と表現して、「上司や会社の束縛からの自由」「夫からの自由」「親からの自由」を謳歌しているゆえではないかと予想している。
男性の意識と女性の意識がかみ合っていなくて、男性は女性に癒しを求める一方で、女性は男性にすがらせない、という指摘も。このあたり、『儒教と負け犬』とあわせて読むと本当に面白いので、興味のある方はぜひご一読を。

最終的には、多様化するライフスタイルに合わせた多様な働き方を許容する社会構築を、といって幕。
最近読んだ筒井淳也さんの福祉国家についての論考も合わせて紹介したいのだけれど、これはまた次の機会にしよう。
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